商標制度とは
商標法の第1条では「この法律は、商標を保護することより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」と記載されています。これは、消費者だけでなく各企業なども経済活動を円滑に進めていくには、それぞれの商品やサービスはだれが製造や提供をしているのかその商品やサービスの質はどのくらいのものが期待されているのかといったことが明確に分かるようなシステムが必要となってきます。そこで、商標制度では商品やサービスに付けられている目印として商標が存在しておりこれを保護していくことを定めています。商標には、それが付けられた商品やサービスの出所を表示する機能とその品質を保証する機能や広告機能を持たせています。そして、商標を使用する側の業務上での信用の維持を保つことで産業の発達を促して需要者の利益を保護しようとしています。
では、商標はどのようなものを保護しているのでしょうか。商標法第2条に規定されているのは、「文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合であって、業として商品を生産し証明し若しくは譲渡する者がその商品について使用するもの又は業として役務を提供し若しくは証明する者がその役務について使用するもの」が保護の対象になっています。つまり、においや味、テーマソングなどの音は保護の対象とはなっていません。
ところで、平成18年6月7日に公布された法律第55号により、商工会議所、商工会、NPO法人などの社団(法人格を有しないものや会社は除きます)も商標登録を受けることができるようになりました。そして、小売業や卸売業で提供されているサービス活動を「小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とし、これを商標法の役務とみなし「役務商標」つまりサービスとして登録できるように改正が行われました。こうして、平成19年4月1日に小売及び卸売の業務に関わる商標の保護制度がはじまりました。
類似判断について
商標・役務(サービス)について出所の混同を招く程度に似ている現象が商標の類似とされています。商標は、識別標識となっているので混同を招くような出所は避けなければいけません。
商標の類似は、基本的に3つの観点から判断されています。1つ目は「外観類似」で、商標の外観そのものが互いに似ているという視覚の観点の類似です。2つ目は「称呼類似」で、発音が互いに似ているという聴覚の観点からの類似です。そして、3つ目が「観念類似」で商標から想像される観念が互いに似ているという意味の観点からの類似です。この観念類似は、外観類似や称呼類似と比べると、類似の判断に占める割合は小さいとされています。つまり、観念類似よりも外観類似や称呼類似をより重要視しなければならないということです。
これら3つの要素以外にも、大事な類似判断があります。例えば、取引の経験則です。商標が使用されている商品・役務に応じて取引の経験則が大きく違ってくる場合も珍しくありません。商標がある商品・役務に使用されている場合は類似でも、別の商品・役務に使用している場合は非類似とされることもあります。また、「対比観察と隔離観察」があります。対比観察とは2つの商標同士を並べて比較し、隔離観察は時間や場所を離して比較することをいいます。特に、実際の取引の場合、隔離観察で比較することが多いのでこの判断結果が重要とされています。また、対比観察では少しの違いも分かるので非類似と思われていても、隔離観察した時にその少しの違いが無視されて最終的な判断が類似とされることもあります。さらに「分離観察」もあります。これは、「文字と図形との結合商標」の場合、商用の一部の構成要素となっている文字のみ若しくは図形のみを取り出して比較するものです。これは、商標全体を考えなければいけません。これらの他にも、本当に様々な要素を含んで類似判断がされています。
どのような判断で審査結果が出されるにしても、商標の類似判断というものは素人にはなかなか理解できないような知識と経験が必要となります。そのため、弁理士のような専門家に依頼することも考えなければいけません。また、商標を比較する場合は、商標・役務をセットとして考えることも必要でしょう。それは、商標・役務同士が類似している場合に限って、商標の同一や類似が意味を持つからです。
区分と類似群コード
全ての商品・役務は、国際分類として45の区分に分けられています。商標登録出願するときには、指定商品・役務の記載とこの商品・役務が属する区分を特定しなければいけません。1つの出願に対して複数の区分を指定することも可能です。つまり、1つの出願で全区分を指定することもできるのです。この区分は、膨大な数の商品・役務を大まかに分類して整理するためのものです。なので、区分は商品・役務の類似とは関係していません。つまり、類似関係にある商標・役務同士は同じ区分になるように工夫されてはいますが、同じ区分に属しているからといってその商標・役務が類似関係にあるとは限りません。また、別の区分に属する商品・役務が非類似だとも限りません。よって、区分のみで商品・役務の類似を判断することは危険をともなうと理解しましょう。
全ての商品・役務には、類似群コードが付けられています。この類似群コードとは類似関係を示しており、商品・役務の類似を判断するのに重要な要素となっています。一般的には、同じ類似群コードが付けられている商品・役務同士は類似していると判断されますが、必ずしも類似しているわけではなく非類似のものもあるので注意しなければいけません。この類似群コードは、個別の商品・役務そのものに付けられているものもあれば、もっと広い概念で付けられている場合もあります。例えば、医療用機械器具は、その下位の概念の商品として診断用機械器具、治療用機械器具、獣医科用機械器具などを含みます。治療用器械器具は、さらに下位の概念の商品として高周波治療器、酸素吸入器、注射針などを含みます。業務用美容マッサージ器の類似コードと耳かきの類似群コードはそれぞれ異なった類似群コードが付けられています。これらと医療用機械器具は、区分は同じ10類ですが、別の類似コードが付けられているのでそれぞれが非類似と判断されます。しかし、10類に属する医療器械器具と5類の医療用腕環と12類に属する車いすは別々の区分ですが、類似コードは全てと同じため類似と判断することができます。こうした齟齬は、国際会議などの場で調整されているのが現状です。
そして、類似群コードは「類似商品・役務審査基準」として公開されています。また、商品・役務の類似を考える時には、商標とのセットで考えなければいけません。商標同士が同一や類似しているときに限って、商品・役務の同一や類似が意味をもってくるのです。
商標登録のメリット
まずは、企業や商品名、ロゴなどを独占的に使用できる法的な権利を得られるということです。他の企業などが同じ社名、商品・サービス名を使用した場合その差し止め請求ができたり損害が出る場合は損害賠償請求ができたりします。具体例を挙げますと、ある会社が数年前にあるヒット商品を生み出して、そのおかげで会社の知名度が上がったとします。しかし、同じ社名を利用して別の会社が全く異なる商品を売り出しました。これは、会社だけでなくその関係者にまで非常に迷惑を被ることとなるでしょう。ここで、商標権を取得していれば、損害を被ったとして損害賠償請求ができるのです。
また、商標権を取得することで他の人が同じ商標権をとることへの牽制となります。これで、会社や商品のブランドを守ることができるのです。
さらに、自分の持っている商標を他の人が使いたいと申し出た場合、ライセンスとして使用許可を出すだけでなく使用料を徴収することもできるのです。商標権があれば、確立されているブランドとして安心感や高級感を与えさせることができるのでそれだけで価値がつきます。
では、商標登録をしていないデメリットを次に挙げます。商標登録は先願主義となっています。つまり、同じ名前やロゴなどの商標を使用している場合、先に使用していることを示さなければ、先に特許庁に出願した方に権利が認められてしまいます。商標は、他との区別を明確にするためのものなので同じ商標は認められません。もしも、既存の商標と類似したロゴなどを故意・過失どちらも関係なく無許可で利用してしまった場合、商標権侵害としてみなされてしまいます。そのため、既存の商標を登録していた者から使用差止請求を受けてしまう可能性があります。商標権侵害で訴訟を起こされると、多額の費用が必要となってきます。さらに、損害を相手に与えてしまっている場合には、損害賠償請求をされてしまうかもしれません。使用を続行したい場合は、ライセンス契約を結んだ上でロイヤルティと言われる使用料を払わなければいけません。そのため、少しでも早く必要な商標登録をして権利を守っておくことが望ましいのです。
特許事務所に出願依頼
商標の出願は簡単だと思っている人も多いようですが実際は違います。出願前には十分に調査を行っておかなければ、出願しても認められずに出願料金だけを支払うことになってしまいます。また、自ら手続きを行ったことで出願が遅れてしまい、その間に他の企業に先に登録されてしまい商標登録ができなくなる可能性も高まってしまうかもしれません。商標登録は先願主義のため、他の企業に登録されてからでは遅いのです。その一方で、質の高い出願書類を作成しなければ、登録内容が甘くなってしまい、商標登録できてもあまり権利関係でその行使ができなくなってしまいます。せっかく商標登録してもこれではもったいないことになってしまいます。つまり、素早く質の高い出願ができなければ個人や企業のみでの出願にはリスクが伴うのです。
事前に個人で調査をしようとする場合、特許庁の電子図書館を利用することができます。しかし、当て字や一字違いなど入力が少しでも違えばなかなか検索ができません。さらに、商標調査は文字や形の類似だけでなく、発音や意味の類似性も調べなければいけないため、想像以上に難しいのです。さらに、登録の目的によっては世界的な商標の調査が必要となってきます。この場合、電子図書館だけでの調査では難しくなってきます。総合的に見て、電子図書館だけでは調査を十分に行うことはとても難しいと言えるでしょう。調査漏れをしてしまったら、他人の権利を侵害してしまったり、特許庁に登録が却下されてしまい修正手続きのため登録が遅れたりすることがあります。また、登録しても他者が商標権が侵害されると考えた場合、さらに他者が先に商標登録すれば多大な損害を受けることも考えられます。そのため、商標調査は専門的な知識がある特許事務所に依頼する方が望ましいでしょう。
では、特許事務所はどのようなところを選べばいいのでしょうか。商標権の侵害に対する強さや活用する自由度など、特許事務所によって結果が違うので安易に選んではいけません。まず、印紙代に関しては商標の出願費用は決まっており、違いは代理人手数料でしか差はありません。格安・安価と安いに越したことはありませんが、いろいろな要素で事務所選びをすることも重要でしょう。事務所選びの基準にしたい一番は商標出願に強いかということです。依頼する弁理士の得意分野が商標取得であることが重要となってきます。次に重要なポイントは、時間と手間をかけて商標出願に力を注いでくれて、依頼者の利益をどれだけ考えてくれるかということです。当然のように思うポイントですが、事務所によっては格安を売りにして中途半端な商標出願をするところもあるかもしれません。そして、事務所が提供しているサービスにも注目しましょう。自身にとって必要なサービスがあるかということです。それぞれの事務所の経営方針によって提供するサービスは大きく変わります。これらのことに注意しながら納得のいく事務所を選びましょう。
事前調査の必要性
使用する商標を登録する前に、調査を行うことが望ましいのは言うまでもありません。また、今使っている商標に関しても一度調査をしてみると良いでしょう。
というのも、他人によって既に同じ商標が特許庁に登録されていれば、もちろん登録は却下されてしまいます。同じでなくても、類似の商標まで商標権は権利範囲が広いという特徴をもっています。そのため、権利範囲を判断するのは難しいのです。また、商標の類似の判断は商標の称呼・外観・観念のそれぞれの要素から総合的に判断されます。そのため、商標登録の前に厳密な商標調査が必要となるのです。全く同じ若しくは類似している商標を探し出した場合に、登録できるかどうかの可能性を判断しなければ成りません。せっかく商標出願しても、登録できなくては労力や費用が無駄となってしまいます。事前の商標調査は、特許庁のデータベース(IPDL)を利用して誰もが行うことができます。しかし、専門的な所作を要しますので専門家に任せることをお勧めします。
また、すでに使っている商標(商品名、サービス名、ロゴ、会社名など)を商標登録されている場合もあるかもしれませんので商標調査をしてみることをお勧めします。もしかしたら、同一若しくは類似している商標が他人に登録されているかもしれません。そのときは、専門家にすぐに相談した方がよいでしょう。表沙汰にならないので、あまり知られてはいませんが商標権の侵害による訴訟は珍しくなく頻繁に起きています。裁判所によって、商標権侵害と判断されてしまった場合に次のような罰則や損失があります。それは、商標の使用中止を求められると商標付帯物(看板、POP、名刺、パンフレット、ホームページで表示されているものなど)の廃棄若しくは訂正を求められたり、過去の使用分にたいして損害賠償金を求められるたり、信用回復措置として謝罪広告などの掲載・告知を求められたりします。商標権に対して高額での買い取りを求められ会社の信用が低下する場合もあり、責任者が訴訟の対象になったりその対応に追われたり専門家への相談や対応費用が発生たりなどその負担は計りしれません。このようなことが起こらない様にするには、これから登録するものすでに登録しているものもしっかりと商標調査をすることが望ましいでしょう。
小売等役務商標制度とは
小売業者や卸売業者は、店舗設計や、品揃え、展示方法、接客など様々工夫をして顧客へのサービス活動を行っています。しかし、これらのサービス活動は販売のための付随的な役割であり、対価の支払いが直接的ではなく商品の価格に転嫁して間接的に支払われているため、商標法上の役務には当たらないとされていました。そのため、法的な保護は受けていませんでした。しかし、こうしたサービス活動を商法上の役務に含まれるものとして新しく規定されているのが商標法第2条第2項です。この規定がなされて以降、小売業者などにより使用される商標が商標法上に関わる商標として新しく保護されることとなったのが小売等役務商標制度です。
元々、小売業者等が使用する商標は商品商標として取り扱う商品についての商標登録を行うことで保護されていました。そのため、商品に付ける値札やチラシなどの商標については保護されていましたが、ショッピングカートや店員の制服などに表示している商標は商品に付いているものではないため保護されていませんでした。さらに、取り扱う商品が多ければ商標権を取得する時に多くの分野で登録をする必要があり手続き費用が多額になってしまいます。そこで、この小売等役務商標制度が導入されたことにより、今までの商品商標でも保護されていた値札やチラシなどに加えてショッピングカートや店員の制服などにも表示されている商標も保護されることとなりました。また、どのような商品を取り扱う小売業者であっても小売サービスという1つの分野で商標権を取得することができるようになったため低廉に権利を取得することが可能となりました。テレビやインターネットなどを媒体として商品を販売する通信販売でも商品の説明や顧客に対する便益の提供は行なわれています。そのため、通信販売を行う企業に対しても通信販売の際に用いる商標を小売等役務の商標として保護を受けることが可能となりました。小売等役務商標制度の対象の業務となっているのは、衣料品店、八百屋、眼鏡屋、本屋、家電量販店、飲食料品スーパー、コンビニエンスストア、ホームセンター、百貨店、卸問屋などあらゆる小売業や卸売業です。また、カタログやテレビ、インターネットを通じた通信販売にも対象範囲は及んでいます。
キャラクターの商標
近年は、ゆるキャラブームも巻き起こり様々なキャラクターが登場しています。このキャラクターを保護するためには、著作権だけで十分と思っている人も多いようですが実は商標権も意外と重要なのです。一般的にキャラクター名は著作物とはなりません。なので、キャラクター名を無断で使用されていたとしても、それに対して著作権で保護することはできないのです。見た目が全く違うキャラクターに同じ名前を付けられたとしても、著作権だけでは無力に等しいのです。ですが、キャラクター名を商標登録していれば他人が無断でキャラクター名を使ったとしてもそれをやめさせることが可能なのです。そのため、キャラクター名を商標登録することが重要となるのです。また、偽物のキャラクターグッズを販売しようとする人は、多くの場合キャラクター名をそのまま使うか少しだけ変えた類似したキャラクター名を使おうと考えます。この場合でも、商標登録をしておけばキャラクター名を使うことだけでなく、類似のキャラクター名を使うことも法的にやめさせることが可能です。やはり、商標権は重要といえます。ですから、キャラクターを考えた場合すぐに商標登録をしておいた方が安心です。
また、キャラクター原画を商標登録するケースも多いです。それには、いくつか理由があります。まず、商標権が方式主義のため商標権を発生させるために商標登録をする必要があるということです。著作権は、権利を発生させるための登録は必要がありませんが商標権は登録を必要とします。そのため、誰が商標権者でいつから商標権が発生しているのかが明確になっています。そのうえ、特許庁の厳しい審査を受けた上で商標登録されているので客観性が入っているともいえます。また、商標権は絶対権のため偶然同じような商標になってしまったと主張されても商標権の効力が及びます。著作権では、偶然同じような著作物を創作したと主張されてしまえば権利の効力は及びません。そして、商標権には美術性が求められません。また、商標は登録をする際にその商標をどのような商品に表示するのかを指定しなければいけません。
団体に対するもの
団体商標とは、事業者を構成員に有する団体がその構成員に使用させる商標のことです。そのため、商品・役務の個別の出所を明らかにする性質は持っておらず、団体の構成員に関わる商品・役務としての共通的性質を表示するものとなっています。このような団体商標となりうるものの例は、長野県の味噌の製造販売業者の団体が「信州味噌」、京都の織物業者の「西陣織」、羊毛製品についての団体の「ウールマーク」などです。日本でも、旧法(大正10年法)において団体標章制度として規定が設けられていましたが、昭和34年の法改正の際に新たに導入された使用許諾制度(第30条、第31条)によって実質的に通常の商標と同様に保護することが可能として明文の規定はなかったのですが新たな規定が設けられました。
団体商標の登録が可能なのは、民法第34条の規定により設立されている社団法人あるいは事業協同組合、その他の特別な法律により設立されている組合(法人格を有しないものを除く)これらに相当する外国の法人です。また、商工会などは登録が認められる団体の条件が緩和されています。団体商標は、構成員が使用することを最初から予定されているものであり団体のみが使用する商標は認められません。その他、一般的な商標登録出願と同じような一般的な登録要件などが審査されこれがクリアされないと団体商標として登録されません。したがって、団体の定めるところにより指定商品・役務について団体商標に係る登録商標の使用をする権利が認められます。なお、団体構成員の権利の移転は認められていません。また、商標権利者はあくまで団体であり各構成員が商標の不正な使用や不適切な使用をしないような注意喚起をすることが必要です。全国各地にはいろいろな特色を持った物産があり、それらを使った地域おこしや町おこしをする団体がたくさんあります。それだけでなく、中には中小の事業者が集まって組合をつくるケースもあります。こうした中で、団体商標の持つ意味は大きくなってくるのです。
地域の活性化
地域団体商標は、「地域の名前+普通名称や慣用商標」から構成されている商標について一定要件をもとにして、従来よりも広く登録を認めている制度です。平成18年4月に地域団体商標の制度が認められるまでは「地名+商品名」をただ普通の文字だけであらわした商標は、誰もが使用する言葉として例外を除いては商標の登録はできませんでした。ここでの例外とは、「地名+商品名など」の商標をロゴマークと組み合わせたものや使用を続けた結果として有名となった商標です。地域の名産品や特産品などの地域ブランドを活性化させ保護することを目的に、地域団体商標の制度が適用されましたが様々な要件を満たさなければなりません。
まず、出願人の資格が限定されています。資格とは、事業協同組合や農業協同組合、漁業協同組合などの法的な団体であり自由にその構成員として加入することができるものであることを書面の提出によって証明できなければいけません。また、通常の団体商標と同様に団体に加入している構成員が使用する商標でなければいけません。そして、商標がその商品・役務の表示として周知になっている必要があります。例えば、隣接都道府県や地域で周知となっていることを証明書類で立証が可能で周知商標と同一の商標を同一の指定商品・指定役務について登録しなければいけません。その他にも、地域の名称を含み地域名が商品もしくは主要原材料の産地である役務の提供場所、製法の由来地であることなど商品・役務との関連性を密接に有すること証明します。また、地域名と商品・役務の普通名称または商品・役務の慣用名称との組み合わせ、産地などの表示として慣用して付けられる「本場」などの文字との組み合わせで構成されており普通書体の文字からなる商標でなければいけません。しかし、他に類似商標が先に登録されている場合や、「さつまいも」「イセエビ」などのように商標全体として既に普通名称となってしまっている場合は登録が認められません。地域名との関係や商品などの普通名称・慣用名称との関係性で品質誤認を生じさせるおそれがある商標も登録ができません。また、同じ地域で同じ商標を複数の団体が使用する場合は共同で出願をする必要があります。
参考としては、団体商標と地域団体商標の違いは構成員の加入自由の担保規定、商標の構成、指定商品・役務、周知性、地域の密接性などに違いがあります。注意しましょう。