ニュースになった商標トラブル
商標権を巡っては、それぞれの国の違いから、他国の企業とトラブルになることも多くなってきています。特にアジア地域では、商標権を含めた産業財産権や知的財産権に対しての認識がまだ充分に浸透していない部分もあり、個人レベルでは侵害していても違法ではないと考えている人も一部にはいるようです。そういった国々とは、国家間で交わしている条約やそれぞれの国の法律のほかに、その国ごとの社会通念なども視野に入れてトラブルを解決していかなくてはならないのですが、日本側としてはなかなか理解しがたいケースもあります。
他国企業とトラブルになったもののうち、興味深いケースでは、アニメロボットの名称「ガンダム」を巡る裁判があります。海外の企業が「ガンダム」を商標登録したのですが、これは最初、ロボットの普通名称であるとして、登録が認められなかったという経緯があります。その後登録が認められ、日本のアニメ製作会社が提訴しましたが、現在は敗訴となっています。
日本でも大々的に報じられた「クレヨンしんちゃん」事件では日本側の主張が認められたのですが、今度は「しんちゃん」という名称が同じ国で使用され、問題になっているようです。どうも日本側は、アニメやテクノロジーの分野でのトラブルが多いようですね。日本国内の常識にとらわれず、他国との考え方の違いを認識して、商標権の管理を考えなければならない時代なのでしょう。
最近、国内でニュースになったものでは、北海道のお土産として人気の高い「白い恋人」の製菓会社が、大阪で発売されているお土産用の「面白い恋人」が商標を侵害しているとして、販売差し止めなどを求めて提訴したケースがあります。「面白い恋人」はパッケージの外観も「白い恋人」とよく似ている商品だということです。発売元がよしもとクリエイティブ・エージェンシーですので、ユーモアを持って名称を決めたのかもしれませんが、もし今後「白い恋人」に類似していると判断されれば、商標権の侵害だけでなく不正競争防止法違反も問われることになり、販売差し止めや在庫処分、さらに損害賠償を請求されることにもなります。他人の登録商標や、それに類似する商標を使用しようと考えたときには、権利者と使用契約を結ぶことが必要です。