地域ブランドを守る地域団体商標
商標には、団体商標と地域団体商標と呼ばれるものがあります。団体商標とは、例えば同業者の組合や技術者会などの団体が登録したもので、その団体の構成員が使用する商標です。
地域団体商標とは、「仙台味噌」や「江戸切子」「松坂牛」「道後温泉」といった、地域の名称と商品・サービスの名称、または慣用的名称と産地などを組み合わせた商標で、中小企業などの事業共同組合や農業共同組合などが登録を受けることができるものです。こちらは実際に使用をして、一定の範囲で知られるようになった商標であって、文字だけのものが認められています。
地域団体商標は、地域産業の活性化や地域おこしを目的にした地域ブランドの保護のため、2006年に制度化されました。地域の組合が推奨する商品やサービスは、特に国内では高い信用を得ることができます。多少、流通事情が悪かったり、品薄で単価が高かったりしても、良いものを買いたいと思う人は多いですよね。日本経済のほぼ9割を国内需要が支えているというデータもありますから、国内だけでも商標が認知されれば、その団体の加入者にとって大きなメリットになります。もちろん、海外へ向けて「日本国内でも人気の高いブランド」とアピールすることもできますね。
地域団体商標の登録が認められるには、隣接した都道府県の需要者に認識されていることも条件のひとつになっています。団体商標とは違って、全国規模での知名度は必要ありませんから、資力がそれほど大きくない団体でも商標権の取得が可能です。
また、政府は農林水産物と食品の輸出戦略検討会を立ち上げ、ジャパン・ブランドの確立を推進する提言を取りまとめました。TPP参加が検討され、また未曾有の大災害に見舞われた影響もあるなかで、輸出促進対策を進めています。その提言ではジャパン・ブランドの確立と輸出促進に加えてその保全と向上も挙げられ、商標権等の侵害に毅然と対応すると書かれています。生産者や組合が対象の輸出イベントもあり、対策と後押しが進められています。
ジャパン・ブランドの1つとして信用と魅力を発信していくためにも、商標権の取得と管理は大切なポイントです。