国際商標と日本の取り組み
国際間では、商標を含む知的財産に関する条約が主だった国の間で締結され、その条約のもとで公平な権利の保護が保証されています。しかし実際には、「国際的ハーモナイズ」(国際調和)を強調しているのは日本だけで、他の国々の多くは自国の企業を優先しがちだと言われています。政府の後押しがあるとはいえ、海外進出には、早めの商標登録と、その国の法律や事情を理解しておくことが大切になります。
例えば中国で日本の地名が商標登録されていることが問題になっていましたが、日本側が商標の取消を求めて訴訟を起こしても、審理が始まって結果が出るまでに非常に時間がかかっていました。中国以外の国でも商標を申請しても登録自体に時間がかかったり、自体日本の基準では取消が認められるような商標でも、異議が認められないといったケースがあります。
特に中国では、中国語での情報発信が重要になります。商標もできるだけ早く、しかも中国語名で登録することをおすすめします。中国では外国の商標を先に登録して、それを売りつける企業が存在するからです。日本の企業はブランドに拘りがあるので、ほぼ毎回、高額で買い取っています。中国語の商標を先に登録しておけば不要な買い取りをする必要はありません。申請の前に中国側に情報を漏らすことも控えてください。中国、香港は日本にとって重要な交易国ですが、同じ漢字圏でもあり、商標管理にはモニタリングが欠かせません。特許庁では定期的に中国の商標をモニタリングしています。
国際的に商標登録を申請するには、特許庁を通して国際事務局に申請する方法があります。数カ国を指定して申請することも、条約締結国の全てを対象に国際出願をして、後から申請する国を指定することもできます。どちらを選ぶかで申請の手数料も違ってくるので、できれば国際申請を考えた時点で専門家に相談することをおすすめします。国際機関を通さずに直接相手国に申請することもできますが、いくつかの国に申請するつもりなら、国際機関を通したほうが手間や費用がかかりません。