商標のおもしろ裏話
世の中にはユニークな商標がたくさんあります。日本では認められていませんが、世界には音(サウンドロゴ)や匂い、味などを商標として保護する国もあります。昨年はタイが音や匂いを商標として保護する準備を進めているという発表がありました。匂いが商標になるとは、日本人としては少し不思議な感じがしますね。
海外に進出したことで商標が変わった例もあります。アメリカの大手ハンバーガーチェーンのひとつ、「バーガーキング」がオーストラリアに出店したときのこと。オーストラリアでは既に「バーガーキング」の商標が登録されていて、使用することがでませんでした。そのためバーガーキングは名前を変えて、「ハングリージャックス」という商標でオーストラリアに進出、フランチャイズ展開を進めました。その後、権利譲渡の契約を交わし、オーストラリアでも「バーガーキング」の商標が使えることになったのですが、その頃には「ハングリージャックス」の名称が浸透していたため変更できず、今でもオーストラリアでは「ハングリージャックス」の商標が使われています。
日本にもユニークな商標があります。宮崎県産マンゴー「太陽のたまご」は大変有名になりました。ほかに話題になったものに、ぶどうの名称「天使の乳首」があります。ちょっと際どい名前ですが、粒がマスカットのような薄い緑色の細長い形状をしているぶどうで、甘くて美味しいと評判になりました。栽培に手間がかかるため収穫量が少なく、あまり市場に出回らない品種のようですが、目を引く名称で高い品質を知らせることができた良い例ですね。
少し前から歴史がブームですが、それに目をつけたのか、貸金業者が歴史上の人物の名前を商標として登録・取得して問題になったことがあります。「吉田松陰」や「高杉晋作」、「木戸孝允」といった幕末の有名人たちの名前です。名字などは商標として登録できませんが、氏名であれば登録が認められます。ところが、これに山口県の萩市が異議を申し立てました。これをきっかけに特許庁が審査基準を改訂し、現在では、歴史上の人物の名前が商標申請されたときには、遺族や地域住民の意向、公共の利益を損なわないなど、いくつかの条件を総合的に判断することになっています。