商標出願の流れ
商標の登録を特許庁に出願するには、まず既定の願書や必要な書類を用意します。書類は様式に沿って決められた事項を記入しなくてはなりません。使用する商品や役務を政令で定められた区分に沿って指定し、その商標の形状や色がわかる図面か写真を添付することも必要です。区分は複数を指定することができます。商標には「一商標一出願」という規定があり、1つの出願で登録ができる商標は1つだけに限られています。2つ以上の商標を一度に出願することはできません。複数の商標を登録したい場合には、商標ごとに、別々に書類を用意して出願することになります。
特許庁に商標登録の出願をすると、まず出願書類に不備がないかを確認されます。不備がなければ出願書類を提出した日が登録出願日として認定され、もしあった場合には、修正するよう命令(補完命令)が届きます。再提出には一定の期間を指定されるのでその間に補完をし、手続補完書を提出します。補完命令が出た場合には、手続補完書を提出した日が登録出願の日として認定されます。登録出願日は、商標権を行使できる基準にもなる、重要な日です。
その後、出願した商標が登録の要件を満たしているかどうかが審査され、問題がなければ商標登録がされます。審査の間であれば、指定した商品やサービスの区分を減らしたり、誤記訂正などの出願書類の補正をすることができます。ただし、補正ができる範囲は制限されていますので、最初の出願内容をできるだけ完全なものにしておくことが大切です。
商標権は登録主義ですので、その商標をすぐに使用する予定がなくても、将来的に使用する可能性がある場合にはまず登録をしておくことが事業戦略的に重要になります。もしも先に他社に登録されてしまうと、その商標が使えなくなってしまいます。同じ商標に対して複数の出願があった時には、一番最初に出願した人や事業所が登録する権利を持ちますが、既に他人がその商標を使用していて、それが広く認識されている場合には、登録ができません。また、登録できても先使用権が認められて、自分の商標権が制限される場合があります。